国内市場へ本格始動
「CCM-CHRONOS™」が見せる未来
JOURNAL
#06
SCROLL
イントロダクション
2025年8月28日から29日、名古屋で開催された日本受精着床学会総会にアステックも出展いたしました。国内を中心に多くの医療従事者や研究者が集うこの学会は、生殖医療の最前線に触れる貴重な場です。
会場では、最新のタイムラプスインキュベーター「CCM-CHRONOS™」を発表し、来場された先生方や研究者の皆さまと直接対話を重ねることができました。実機を前に寄せられた期待や率直な声は、これからの製品づくりやサポートの方向性を確かめる大切な手がかりとなりました。
本ジャーナルでは、展示会の雰囲気や交流を振り返りながら、営業部・大橋本部長の言葉を通してアステックが描くこれからの姿をお伝えします。
てまひまをかけた準備が実を結ぶ
第43回を迎えた日本受精着床学会は、国内でも不妊治療分野で大規模な学会のひとつです。2日間で約120施設、1,200名を超える来場者が集まりました。アステックは営業部を中心に、出展に向けて長い時間をかけて準備を進めてきました。
「展示会には営業部から約10名が参加し、私は現場統括を務めました」と語る大橋本部長。ブースの設営から資料作成、顧客への案内に至るまで、一人ひとりが自分の担当先を思い浮かべながら丁寧に取り組みました。
事前に積み重ねた準備は学会当日のブースにあらわれ、足を止める来場者との対話に結びつきました。
「準備のひとつひとつが、結果的に現場での熱気や反応を生んだ」と大橋本部長。周到な下準備と現場での真摯な対応が、学会での確かな手応えにつながりました。
画質とAIがもたらす新しい価値
― 展示会で注目を集めたCCM-CHRONOS™
今回発表した「CCM-CHRONOS™」は、3代目となるタイムラプスインキュベーターです。
大橋本部長は「最大の強みはやはり画質の進化です。高精細な画像をAI解析に活かすことで、見落としを減らせる点に大きな価値があると考えています」と語ります。
タイムラプスでは15分ごとに自動撮影された画像を記録し、AI 解析と 組み合わせることで、胚発生のわずかな変化も捉えやすくなりました。これにより、人の目だけでは気づきにくい現象も補完的に確認でき、日々の観察をより確かなものにします。
専用ディッシュ「suregrip™」シリーズの「EmbryoPod」は、滑りにくく持ちやすい形状で、作業の 安全性と正確性を高めます。温度やガス環境を安定的に維持しながら、清掃やメンテナンスの容易さも両立しました。さらに、Nikon と共同開発した「エンボスコントラスト」観察法により、従来は捉えにくかった胚の輪郭を鮮明に浮かび上がらせることが可能になっています。
会場では、実際に装置を覗き込んだ培養士から「ここまで画質の違いがあるとは思わなかった」と驚きの声があがりました。
培養容器を引き出す際のリスクを徹底的に考え、構造が工夫されたドロワーや、専用ディッシュの握りやすさに「安心して扱える」「日常の作業が変わりそうだ」といった感想も聞かれました。
さらに、5色のカラーバリエーションについては「現場の雰囲気が和らぐ色があってうれしい」「自分のラボに合う色を選べそう」と笑顔を見せる方も多く、とくに女性の培養士からは「やわらかい色合いもあり、選べるのはありがたい」という声が寄せられました。こうしたリアルな体験を通じて、機能性とデザイン性の両面で“手に取ったぬくもり” が実感されていました。
現場に寄り添う アフターサービス
アステックは製品を届けるだけでなく、その後も安心して長く使っていただくことを大切にしています。温度変動を±0.2℃以内に抑える最適化されたヒーター構造や、24時間365日の安定稼働を可能にする設計は、現場での信頼を支える柱です。 また、観察・記録・分析をサポートする「Astec Image Intelligence」 は、タイムラプス表示や観察ログを備え、臨床と研究の両方に貢献します。
現場の声をしっかり受けとめ、それを次の開発につなげていくことが私たちの役割」と大橋本部長。展示会でも「アステックの製品はサポートが手厚い」「長期的に安心できる」という声が多く寄せられました。 さらに今回は、従来は営業が担っていたアフターサービスを専門的に支えるカスタマーサービス課を新設。設置前の環境調査からネットワーク設定、導入後の保守までをきめ細かくフォローする体制を整え、現場に“安心”を届けています。 「将来はメーカーという枠を超え、さまざまな機器と調和しながら受け入れられる存在を目指したい。プラットフォームのような役割を担える製品に育てていきたい」と、大橋本部長は展望を語ります。
人とともに育つ営業部の力
アステックの営業部は、幅広い世代の社員が在籍し、互いに刺激を受け合いながら日々の業務にあたっています。学会や展示会で得た声を開発や製造に届けることも大切な役割であり、海外の動きに合わせて社内の連携を図る調整役でもあります。
大橋本部長は入社以来30年、ライフサイエンスからIVFの分野まで、 営業の最前線で歩み続けてきました。「日本のものづくりで医療現場を支えたい」という言葉には、穏やかな口調の奥に揺るぎない信念がにじみ出ています。
今回の学会では、進化した画質を実際に確かめようと、多くの来場者が足を止めていました。「ここまで鮮明とは思わなかった」「日常の作業が安心できる」といった声は、営業部が日々拾い上げてきた現場の小さな要望が形になった成果でもあります。人と人とのやりとりを積み重ねながら製品を育てていく姿勢が、アステック営業部の力を物語っていました。
国内市場に向けて動き出した「CCM-CHRONOS™」。高精細な画質とAIと連携したサポート機能、現場を支える操作性やデザイン性、そして安心のアフターサービス。学会の場で多くの来場者がその価値を実感しました。
営業部は現場の声を開発へと橋渡しし、国内外の医療現場に寄り添い続けています。アステックはこれからも“人に寄り添う技術”を大切に、一 つひとつの命の誕生に温かく寄与してまいります。






