
世界一の
インキュベーターブランドへ
生産現場に宿る「情熱」と「覚悟」
JOURNAL
#01
SCROLL
イントロダクション
アステックでは、体外受精などの不妊治療で使われるインキュベーターや再生医療や遺伝子の研究に用いられるライフサイエンス機器など、命に関わる製品を届けています。
アステックの機器は、ドクターや胚培養士とともに、命を支えるチームの一員でもあります。このジャーナルでは、そんな“ものづくり”の舞台裏や、そこに込めた想いを少しずつお届けしていきます。
一つひとつの製品に込めた想いが、誰かの安心につながっていくように。
第1回は、生産の現場から──。

不妊治療の現場で患者と向き合うドクター、培養室で受精卵を取り扱う胚培養士、命を扱うプロフェッショナルと同じように、アステックの製品には大事な命があずけられています。
アステック製品は病院やクリニックはもとより、国公立大学などの医療やライフサイエンスの研究施設にも多数導入されています。海外でも65の国や地域で代理店を持ち取引され、広く世界中で稼働しています。特に受精卵の培養を映像で追うことができるタイムラプスインキュベーターは日本国内唯一のメーカーです。AIを用いた画像診断ソフトにより、現場だけでなく業界全体の刷新までを視野に入れています。
アステックの製品が、医療チームの一員として迎えられるよう、“ディティールにこだわるものづくり”を使命とする生産部門に密着しました。
受け継ぎ、進化するものづくり
アステックの生産部では、インキュベーターをはじめ、製品カテゴリーごとに全部で10の生産ラインが稼働しており、それぞれのラインで製品を知り尽くす精鋭たちがチームを組み、日々のものづくりに励んでいます。 生産計画に基づき、資材を部品から仕入れ、電源スイッチなどの小さなユニットをつくり、各パーツを組み立て、熟練のエンジニアによる調整を加え、製品を仕上げます。特に精密性が求められる温度コントロールでは、実温度と表示温度の僅かな差も埋めるよう校正され、厳しい検査をクリアしたものだけが出荷されます。各生産ラインには、“この道何十年”という百戦錬磨の熟練工の姿もありました。


「アステックの生命線でもあるものづくりを支えてきたのは、数々の試練を乗り越えてきたレジェンドたち。その技術やノウハウを次世代につなぎ、一方で新しい技術に挑むチャレンジングな姿勢を持ち続けることで、業界の先を見据えるものづくりをカタチにしていくことが私たちの使命です」と生産部の角部長。 全体を管理しながら各ラインのチームリーダーに伴走し、目指す方向性をともに見据え、成長の機会を積極的に与えるなど、人材育成にも力を入れています。また、顧客ニーズに応える生産ラインを整え、業務効率化を図るため、DX化や設備投資も欠かせません。
最高ランクの安心を届けるために

購買、製造、生産管理、品質管理、アフターサービスの5つの機能を有する生産部では、知識や技術を備えた営業でも対応が難しい製品の調整やトラブルを解決すべく、客先にエンジニアを派遣しています。
機器の設置では、十二分に性能を発揮するため、レイアウトなど物理的な面も重要ですが、ソフトウェアやネットワークを活用し、医療現場で働くプロフェッショナルを支援するためのソリューションを提供するには、広範囲にわたり、知見やノウハウが必要です。
いちばん大事なことは、製品が当たり前に動くこと。ときには、予測が難しい原因で不具合が生じることもあり、そんなときには、アステックの製品を熟知する生産部のエンジニアが駆けつけます。製品と日々向き合うエンジニアから技術的な見解や解決策を得られることで、安心感につながるという声も多いようです。
「一刻も早く解決してほしいというお客様の気持ちに応えようと最優先で対応します。お客様からも『アステックだから安心』と言っていただくなど、スピーディーな対応の積み重ねが、現在の信頼につながっていると感じます」と角部長は話します。
もうすぐ設立50周年を迎える社内では、『チーム50(フィフティ)』と呼ばれるプロジェクトが始動。その中で生産部が目指すのは、最上級の安心感を届けるチームになることです。そのためには、一人ひとりが仕事への情熱と覚悟を持ち、能動的に動くこと、ディティールにこだわり続けることが、アステックが理念に掲げる世界一のインキュベーターブランドになるための必須条件でもあります。
人づくりが未来をつくる

20~30代の次世代リーダーの育成に力を注ぐアステックでは、これまで以上に手厚い教育体制を整えています。日常業務での気づきはもちろん、自己啓発や現リーダーの導きにより、学びや成長の機会を積極的にサポート。自分のなりたい未来像を3年先まで見据え、キャリア形成を支援しています。
目標達成に向けて価値観を共有し、傾聴するオープンな社風でコミュニケーションを深め、ときには伴走し、結果を称賛することで能動性が育まれ、意識改革が進み未来のリーダー誕生につなげたいと考えられています。

その一環として、新型タイムラプスインキュベーターCCM-CHRONOSの立ち上げでは、自ら手を挙げた入社9年目の高城さんをプロジェクトメンバーに起用。これまでの生産業務の枠を超え、マニュアル作成や社内説明会の実施、展示会での顧客対応など、その活動領域を広げ、スピードある成長を遂げていると言います。
若手にも惜しみなくチャンスを与える企業風土も、アステックの強みであり、働き手にとっての魅力です。
ハードウェア部分にソフトウェアのサービスが加わり、豊富な機能を備えた新型タイムラプスインキュベーターCCM-CHRONOSのリリースにより、保守やメンテナンスのハードルが高まるなど、ネットワーク関連まで広い範囲で知識が求められる今、高度な専門性を備えるフィールドエンジニアの育成を進めています。
「ものづくりに精通したエンジニアが、製品の修理からメンテナンスまで手掛け、バリデーションやトレーサビリティまで管理しながら、アステック製品の品質を守り、価値を高められる人材を輩出していきたい」と角部長。新規部門の創設に向けて着々と動いています。
AIやIoT技術の発展、クラウドシステムの活用など、業界にさらなるイノベーションを起こそうと全社を挙げて取り組む今、リリース間近の新型タイムラプスインキュベーターCCM-CHRONOSへの期待も高まっています。 50周年を目前に、企業としての発展・拡大期を迎えるアステックのものづくり現場を担う生産部の取材では、エンジニアたちの情熱と覚悟とともに、未来志向の組織づくりが進んでいる様子を知ることができました。
NEXT
次回のジャーナルでは、アステックの未来を切り拓く開発課と品質管理課の仕事についてレポート。
前編と後編に分けてお伝えします。